まごころの家＊岡出山 スタッフブログ

実はわたくし酒井、施設のベランダで

蜘蛛を飼育してかれこそ1ヶ月

この事実を知る者は職員といえど知るものは少ない

今回は、そのクモを見つけて飼い始めて思い出した

昔の話をお話ししたいと思います。

久しぶりに見たその蜘蛛のおかげで

ふっと懐かしい思い出の風が自分の中に吹いたのです。

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大学時代、蜘蛛を題材にした卒業論文を書いた

生態調査といった内容で、別段大した内容でもない

4～8月の間フィールドワークして、大学の前の運河の草木を分け入る

とにかく蜘蛛を見つけないと捗らない研究であったため、

藪の中を血眼で探し回る　炎天下でも雨でも

それは傍目に見ると何をしているのか、甚だ怪しく

警察にもよく話を聞かれたほどで、、。

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ある日、そんなフィールドワーク中、

1人のご老人が車椅子で連れられて、

運河の上の土手から下にいる私に向かってこう聞くのです

「何をしているのですか？」

私は答えます

「蜘蛛の研究をしていまして」

ご老人が聞き返します。

空を指差しながら

「くもってこっちのか？」と

再び私が答えます

「八本足の蜘蛛の方の研究なんです」

ご老人はうなずき合点したご様子でニッコリしてその場を後にします。

車椅子を押す介護職員と思われる方も軽い会釈して

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介護施設が近くにあったようで、そのご老人はその後も、

私を見つけるなり何度も何度も同じ質問をしてきました

で、最後は必ず空を指差し

「くもってこっちのか？」と(笑)

始めのころは、わたしは蜘蛛発見に全集中で

ご老人がいつも上から声掛けてきて再会に気づくのですが、

そのうち、今日も上の土手から声がかかるのではないかと

意識するようになっていまして、

遠くの方にそれらしい影をみて、きっともうじき来て

今に「何をしているんですか？」といつも調子で

呼び止められるのかなと、待っている自分がいて

別に会うことが楽しいとかそういった感情はなかったのですが

研究とご老人がワンセットになっていました

今パソコンを打っていても懐かしい思い出でして

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生態調査も佳境に入った7月の初めくらいから

高い頻度でお会い出来ていたご老人の姿を

ぱったりと見なくなりました

暑くなってきたので、時間を変えて散歩しているのかなと

勝手に想像していましたが、

あるとき介護職員さんと思われる人が

いつもすみませんみたいな恐縮した様子で

ペコペコ頭を下げながら土手に下りてきて

「有難うございました」と一言目に

ご老人のいつも同じ質問、いつも同じ返事

そのことのお詫びにわざわざ来てくれたのだと

「わざわざそんなこと...」と返そうと思っていたら

すぐに私の返答を待たずに"ご老人が亡くなったこと"を聞かされました

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お話し聞くと、生前ご老人は施設では気難しいおじいちゃんで

職員にも同じフロアの利用者にも心を開かずに

1人でいることが多かったそうです。

そんなこともあって、

スタッフが気晴らしに車椅子で散歩させてあげていたそうで

そんな散歩道でその運河一不審な私を見つけたわけでして

社交的とは程遠いご老人もさすがに気になったのでしょう

いつもいつも藪に入り、カメラと定規、ルーペを持った私を(笑)

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そのご老人にとってわたしは

唯一心開いて話せる相手だったみたいなんです

まあ部外者で不審者ですからね、無理もない(笑)

部屋の窓からも様子が見えたようで、

私は蜘蛛を、ご老人は私を常に観察していたようなんです

「いつもお相手して頂いて有難う御座いました」

最後にそう言って、

職員が下りてきた土手を今後は上って帰っていきました。

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その蜘蛛「コガネグモ」と言います。

いつぶりに見たかな？まさか施設のベランダにいるなんて

そういえば、新卒で就職した会社からの採用通知電話も

この藪の中で聞いたっけ！電話元が分からず、

ちょっと今手が離せないくて後で掛け直しますみたいな話をしたような(笑)

そんな私が今、仕事を変えて介護職員として働いているわけで

なんとも考え深く.........

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思い通りにならない夢をなくして

人はかよわいものですね

人生って不思議なものですね

人生って嬉しいものですね

美空ひばりの愛燦燦の抜粋です。

正にですね。

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では、早速私のペット、ナガコガネグモの「ながお君」の紹介です

張り切ってどうぞ(^O^)／

何枚も撮影したのに、一枚もピントがあっていない、、。

今は夜、セキュリティーも入れてしまっていますんで、

写真はこれで勘弁。

と言いますか、誰が見たいって言いましたっけ？

余り責めないでくださいませ！

人はかよわいものなんですぞ(^。^)y-.。o○

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2021年08月15日